2025年3月27日、香港メディア・香港01は、中国の研究チームが遺伝子を組み替えたブタの肝臓を脳死患者の人間の体内に移植する手術に世界で初めて成功したと報じた。

記事は、中国科学院の竇科峰（とう・かほう）院士をリーダーとする西京医院（陝西省西安市）などの研究チームがこのほど、6カ所の遺伝子組み換えを施したブタの肝臓を脳以外の基本的な機能が維持されている脳死患者の体内に移植したと紹介。移植された肝臓が人体内で正常な生理機能を発揮し、血流や病理検査の結果も良好であることが確認されたほか、移植後10日間の観察期間中に超急性拒絶反応やブタ内因性レトロウイルスの脳死患者への感染も確認されなかったと伝えた。

そして、この研究報告が英国時間26日に「ネイチャー」誌のオンライン版で発表され、既知の研究において世界で初めてとなる成功事例であることが紹介されたと報じた。また、移植学が専門のピーター・フレンド英オックスフォード大学教授が「動物からヒトへの異種臓器移植の研究分野の発展を推進するもの」との認識を示し、その臨床応用についても技術的に可能と評したことを紹介している。

記事は、この研究が学術委員会や倫理委員会などの審査を経て、中国国内の関連規定を厳守した上で着実に実施されており、今回レシピエントに選ばれた患者が重度の閉鎖性頭部外傷により脳死となり、家族が医学の進歩に貢献するため、無償で異種肝移植の科学研究に参加することに同意済みであることを伝えた。（編集・翻訳/川尻）