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21日、中国メディアの半月談網は、二次元文化が中国に根付いた理由について言及した記事を掲載した。写真は洛天依。
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2025年3月21日、中国メディアの半月談網は、二次元文化が中国に根付いた理由について言及した記事を掲載した。
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記事はまず、「二次元文化は、もはや従来のACG(アニメ、マンガ、ゲーム)の枠を超え、文化の革新や産業発展を推進する重要な力となっている。近年、二次元文化の発展は言語や文化、世代間の壁を越える側面を見せ、日本の文化形態から徐々に世界的な文化現象へと変化している。グローバル化とデジタル化が絡み合う中で、中国における二次元文化の発展はどのような道を歩み、どのような独自の価値や影響をもたらしているのだろうか?」と問いかけた。
その上で、「二次元文化は日本に起源を持ち、架空の世界を創造することで、幻想的でありながら現実を映し出す文化生態系を築き、日本国内で広く愛される主流文化となった。二次元文化の発祥地である日本のACG産業は、長年にわたる市場の蓄積と技術的経験を有し、その独自の文化的創造力と物語で他国の文化創作に大きな影響を与えてきた。地理的に日本に近い国として、中国は特に二次元文化の影響を強く受けている。1980年代から始まり、日中間の二次元文化交流はすでに40年以上の歴史を持ち、おおよそ4つの発展段階に分けることができる」とした。
そして、「80~99年の発展初期は日中間の交流が活発になり、日本アニメは手塚治虫氏などのクリエイターによる訪問活動を通じて中国に入り、現地のアニメ制作者に対し、工業化された制作手法や物語構成の理念を示唆した。同時に、中国アニメ『大暴れ孫悟空』なども日本のメディアの注目を集め、日本の月刊アニメ雑誌・アニメージュは中国アニメを特集。宮崎駿監督をはじめとする日本のアニメ制作者が同誌主催の中国美術映画に関する座談会に参加した。この過程で、手塚氏と万籟鳴(ばんらいめい)監督が共に描いた『孫悟空とアトムの面会』は、日中アニメ交流の象徴的な事例となり、両国の文化が芸術表現において互いに学び合う可能性を示した」と説明した。
また、「2000年~11年の成長期には、日中合作の作品が次々と誕生した。06年に公開された日中初の合作アニメ映画『銀色の髪のアギト』は、両国のアニメ制作分野における初の本格的な協力を示すものであった。これは、日中双方のコンテンツ創作における協力の可能性を示しただけでなく、中国における二次元文化のローカライズへの道を切り開く契機ともなった。さらに、この時期にはネットユーザーによる字幕制作グループが次々と誕生し、海外アニメの中国内での普及を加速させるとともに、中国アニメのファン同士の交流の場としても機能するようになった」と述べた。
さらに、「12年~14年の発展期、中国のアニメ産業はますます多様化した。中国の二次元コミュニティーとして代表的な中国の動画共有サービス・bilibili(ビリビリ)は、日本の動画共有サービス・ニコニコ動画のコメント機能を取り入れつつ、中国独自のコンテンツ革新を加えた。その結果、動画制作、コメント機能、IP連携を基盤とするbilibiliは、中国最大の二次元文化の集積地へと成長した。また15年~現在の加速期、中国の二次元市場は細分化され、関連産業の発展が進んだ。現在、中国の二次元産業は主に上流(コンテンツ制作)、中流(動画配信)、下流(関連商品開発)の三層に分かれており、中国独自の要素を取り入れることが重視され、より成熟したビジネスモデルが形成されている。二次元ユーザーはすでに5億人を超え、若年層が多くを占めるとともに、二次元文化の創作やデザインにも積極的に関与するようになっている」と紹介した。
記事は、「デジタル技術の普及により、二次元文化の伝播手段とコンテンツ形式は革新的な変化を遂げた」と言及。「コメント機能付き動画、仮想現実(VR)、人工知能(AI)を活用した創作ツールなどが、従来のコンテンツ消費の形態を変えただけでなく、コンテンツ制作のハードルを下げ、UGC(ユーザー生成コンテンツ)とPGC(プロフェッショナル生成コンテンツ)の融合を促進した」と論じた。
また、「日本のバーチャルアイドルの代表である初音ミクは、二次元文化をオンラインの仮想空間からオフラインの現実世界へと広げた存在である」とし、「彼女が流ちょうな標準中国語で歌う『初音ミクV4CHINESE』は17年に発表され、中国の若者たちから大きな支持を得た。一方、中国の有名なバーチャルアイドルである洛天依(ルォ・テンイ)は、世界初の中国語VOCALOIDバーチャルシンガーとして12年にデビューし『次元の壁』を打ち破る存在となった。彼女は3次元とのコラボレーションを頻繁に行い、そのキャラクターデザインには明確な中国の伝統要素が取り入れられている。例えば、特徴的な輪状のお団子ヘア、翡翠の髪飾り、そして腰に結ばれた中国結びなどが挙げられる。これは、二次元文化と中国の伝統文化が融合する新たな傾向を示した」と評した。
そして、「注目すべきは二次元文化が若者にとって自己認識を構築し、自己表現を行うための重要なプラットフォームとなっている点である」と指摘。「この過程において、二次元は単なる娯楽の形態ではなく、一種の『文化資本』として機能している。コスプレ、コメント機能、同人創作など多様な形式を通じて、若者は仮想コミュニティー内で文化資本を蓄積し、交友関係を広げることができる。さらには、それを現実世界の社会的資源やアイデンティティーの象徴へと転換することも可能である」と述べた。
また、「二次元文化が中国で根付き、発展するためには、ローカライズのための革新と改変が必要である。これには、二次元文化が中国の伝統文化と相互に影響を与え合い、共存していくことが求められる。例えば、アニメ映画『西遊記ヒーロー・イズ・バック』、『白蛇:縁起』、『落凡塵』などは、中国刺繍、京劇、無形文化遺産の技法を取り入れ、中華美学を深く表現している。24年公開の『傘少女』は、越劇や西湖の絹傘など江南文化を取り入れ、伝統と現代の要素を融合させた。また、24年発売の国産3Aゲーム『黒神話:悟空』は、中国神話と最新技術を組み合わせ、陝北の語り芸や歴史的名所の実景スキャンを用いたことで、強烈な中国文化の雰囲気を持つ作品となった」と説明した。
記事は、「二次元文化が若者に強く共感されるのは、単に感情的に強いコンテンツが多いからだけでなく、コミュニティーとしてのつながりを作り、深い影響を与えているからだ。例えば『聖地巡礼』では、アニメやゲームの舞台となった地を実際に訪れることで、オンラインで感じた感動をオフラインでも再体験することができる。これは若者たちにとって、キャラクターや物語への感情移入を深め、自己認識や理想の自分を見つける手助けにもなる。また、同じ趣味を持つ人々とつながりを持つことで、他の世代との理解や共感を深めることもできる。つまり、二次元文化は、世代を超えてコミュニケーションの橋を作る役割も果たしているのだ」と言及した。
さらに、「二次元文化は地域の観光・文化産業とも融合し、新たな経済的価値を生み出している。二次元文化が現実の場所を活性化し、作品の世界観を再現することで、新たな観光消費の形が生まれつつある。例えば、ゲーム『王者荣耀』は、広東省の伝統的な獅子舞文化とコラボレーションし、ゲーム内で獅子舞のデザインを取り入れ、AR技術を使ってオンラインで伝統文化を体験できるようにしました。また、河南博物館は、伝統的な玉のアクセサリーのデザインを基にしたフィギュアを販売し、多くの若者の関心を集めることに成功した。このように、オンラインとオフラインを組み合わせた取り組みによって、文化遺産を現代に生かし、新たな経済価値へと転換する道が開かれている」とした。
そして、「二次元文化は、中国の若者が日本のACG文化を理解する手助けとなり、日中両国の文化が深く交流するための場を提供している。例えば、映画『君の名は。』や『中国奇譚』などは、二次元文化の作品には両国の若者が文化的に共通の認識を持つことができるようになっている。二次元文化はもはや異なる文化をつなぐ共通言語のような存在になりつつある。日本のクリエイターが作った物語は、他の国のクリエイターによって詩や小説として表現され、異なる文化や形式で新しい作品が生まれている。今後の文化交流において、二次元文化は単に自国の美しさを伝えるだけでなく、世界の文化がもっとつながる可能性を作り出していくのだ」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)
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