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上海国際問題研究院の東北アジア研究センターに籍を置く陳友駿研究員は、日本の第7次エネルギー基本計画を新計画」を分析し、その実現の困難さを指摘する文章を発表した。
日本では2月、「第7次エネルギー基本計画」(以下、「新計画」)が閣議決定された。中国メディアの環球時報は3月22日付で、上海国際問題研究院の東北アジア研究センターに籍を置く陳友駿研究員が執筆した、「新計画」を分析し、その実現の困難さを指摘する論説を掲載した。以下は、同論説の主要部分を再構成したものだ。
「新計画」は2021年の「第6次エネルギー基本計画」に続き、日本が国内外の情勢変化および将来の戦略的な見通しに基づき行った更新と調整であり、日本国内だけでなく国際社会においても注目を集めている。
「新計画」は、日本が一貫して掲げてきた「S+3E」、すなわち安全性(Safety)、エネルギー供給の安定性(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適応性(Environment Suitability)を改めて強調した。中でも前提とされているのは安全性だ。「新計画」は現実のエネルギー供給と潜在的な需要拡大との間のギャップを可能な限り縮小し、エネルギーの供給と需要の中短期的な基本的均衡を実現することを目指した。そして産業製造、交通運輸、家庭生活などあらゆる分野におけるエネルギー利用の効率を向上させるよう求めた。また、日本は環境基準をさらに厳格化していくとして、水素エネルギー、アンモニアエネルギー、バイオエネルギーなど、「環境により優しい」エネルギーの開発と利用を推進する方針を示した。
「新計画」は原子力エネルギーについて、23年度には8.5%だった比率が、40年度には20%に上昇する見通しを示した。また、従来型のエネルギーの比率は低下させる一方で、再生可能エネルギーの利用比率は、23年度の実績22.9%から大幅に引き上げられ、日本のエネルギー構成体系において第一の柱となる可能性が強まった。
「新計画」はさらに、エネルギー自給率をできるだけ引き上げる方針も示した。その原動力になるのは原子力と再生可能エネルギーの増加で、日本はエネルギー自給率を23年実績の15.2%から、24年には30%-40%に引き上げる方針だ。
しかし、日本の新たなエネルギー戦略の実行には困難が伴う。第一に、原子力の利用だ。11年の東日本大震災での福島原発事故により、原子力利用は日本で再評価の対象になった。日本では最近になり一部原発の試験的再稼働が行われているが、日本国民の原発に対する受容度と支持率はいまだに東日本大震災以前の水準に回復していない。これを踏まえれば、日本政府が40年の原発比率目標を推進する過程では、多くの抵抗に直面するのは必至であり、「安全な原発」という概念を国民に納得させられるかどうかは、政策実現における巨大な試練だ。原発問題は、「新計画」が“着地”できるかどうかを左右する要因の一つだ。
「新計画」は実効性と“有効期限”も不明だ。21年に発表された「第六次エネルギー基本計画」は、ロシアとウクライナの紛争の長期化といった複雑な外的要因によって引き起こされた国際的なエネルギー供給と価格の変動といった要因で、実行は困難を極めた。国際情勢の変動の影響は、今も続いている。
今後を展望すれば、日本の新たなエネルギー戦略は引き続き多くの要因の影響を受け、実施の過程においてさまざまな変動要素が存在することになる。例えば、米国の現政権が気候変動問題に消極的で、伝統的な化石燃料に強い偏好を示していることが連鎖的な影響をもたらし、日本のエネルギー政策に圧力がかかる可能性がある。国内情勢としては、日本はジタルトランスフォーメーションおよびグリーントランスフォーメーションを積極的に推進しており、これらは本質的に「エネルギー」というキーワードと密接に結び付いていており、日本の将来のエネルギー需要の総量と構造体系に大きな影響を与えることになる。
これらを考慮すれば、日本の将来のエネルギー構造の推移にはなお大きな不確実性が残されている。客観的かつ総合的な評価と設計が常に必要であり、現実に応じて不断の対応と調整を重ねる必要がある。(翻訳・編集/如月隼人)
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