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火鍋店の海底撈で発生した事件の衝撃度は日本の「寿司テロ」騒動を上回ると言えるかもしれない。
火鍋店の海底撈(ハイディーラオ)で発生した事件の衝撃度は日本の「寿司テロ」騒動を上回ると言えるかもしれない。未成年の少年2人が上海の店舗の個室で火鍋に放尿し、その様子を撮影してSNSに投稿。海底撈は店舗の消毒や来店客への補償対応に追われる事態となった。
海底撈の上海外灘店で2月24日に発生した未成年による迷惑行為について、ネットでは企業の危機対応が後手に回っていたとする指摘がある。事件発生から10日間、問題が発生した店舗が特定されず、公式発表が行われなかったためで、その間、多くの来店客が衛生管理に不安を募らせていた。
事態収拾に向けて進展が見られたのは3月8日以降で、結果として2月24日から3月8日までの間に上海外灘店で消費した来店客に補償が行われることになった。その数は4109件に上り、消費分の全額返金とその10倍相当の補償金が払われることになった。海底撈が3月12日付で発した声明では、店舗内の一斉消毒や鍋・食器の交換が行われたことも明らかになった。
今回の事件で企業の危機管理のあり方に大きな関心が寄せられることとなった。海底撈が被った経済的損失はやはり甚大だ。衛生対策を強化し、消費者に配慮した措置が取られたものの、ブランド価値は一時的に大きく損なわれることとなった。
今回の事件を受けて、監視カメラの増設が迷惑行為防止策として議論される可能性もありそうだ。しかし、海底撈は過去にも一部の店舗で個室にカメラを設置し、大きな批判を受けた経緯がある。衛生管理の徹底とプライバシー尊重のバランスをいかに確保するかは極めて難しい問題だ。
もう一つ注目したいのが、8日付で上海市公安局黄浦分局が公開した通報内容で、当該の未成年2人が飲酒していたことに言及していることだ。その後、海底撈は飲食記録を調査した結果、アルコール類の注文は受けていないと声明で明記した。
しかし、未成年者が外部から店内にアルコール類を持ち込んでいた場合、店舗の対応のあり方が問われてきそうだ。「中華人民共和国未成年人保護法」第59条では「酒類販売者は未成年者への酒類販売を禁止する」と規定しているが、未成年の飲酒行為を放置してはならないとまでは踏み込んでいない。
今回の事件では、迷惑行為がSNSを通じて拡散し、問題を深刻化させるリスクを改めて目の当たりにすることになった。SNSでバズることを狙ったモラル逸脱行為や反社会的行為をあおる風潮が容認されれば、それこそ企業だけでなく消費者全体が被害を受けることになる。
日本では「情報流通プラットフォーム対処法」(情プラ法)が物議を醸しているが、SNSにはむしろ「規制より自制(自省)」とのスタンスが求められているのではないだろうか。海底撈が直面した危機対応の問題は、ようやく終息に向けて踏み出した。企業と消費者の間で再び信頼関係が強固に構築されていくことを期待したい。(提供/邦人Navi)
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