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12日、中国メディア・騰訊網は「アニメ人気の裏で中国の若者たちに広がるグッズ経済のわな」と題した記事を掲載した。資料写真。
2025年3月12日、中国メディア・騰訊網は「アニメ人気の裏で中国の若者たちに広がるグッズ経済のわな」と題した記事を掲載した。
記事はまず、「今年の春節、中国のアニメ映画『哪吒之魔童降世(邦題:ナタ~魔童降臨~)』が大ヒットし、世界中の映画館を席巻した。これが二次元文化の枠を超えるきっかけとなり、関連グッズ市場も大盛況となった。だが、このブームの裏ではグッズ業界の問題も増えている。ライセンスがあいまいな商品、転売業者の逃亡、ブラインドボックス商法のトラブルなどが次々と発生、さらには投機や詐欺の温床になっている現実もある。このように加熱する『グッズ消費』を、どのように理性あるものへと戻していくべきなのか」と問いかけた。
そして、「『中国二次元コンテンツ産業白書』によると、二次元を好む中国のユーザーはすでに5億人を超えており、天風証券の報告ではこの消費者層の中心年齢は12~22歳で、中学生が50~60%を占めるとしている。こうした若者のニッチな趣味が、数千億元規模の巨大なグッズ経済を支えている。また、市場コンサルティング会社・艾媒(iiMedia Research)のデータによれば、中国のグッズ市場規模は24年に1689億元(約3兆4000億円)に達し、29年には3089億元(約6兆3000億円)に拡大すると予測されている」とした。
その上で、「グッズ界隈の外にいる人々には理解しがたいことがある」と言及。「それは、原価が数元しかかからないプラスチック製のバッジが、なぜ若者たちをここまで熱狂させるのかという点だ。その理由の一つは、消費者が『感情的価値』と『社会的承認欲求』を求めていることにある。生活のペースが速まり、仕事のストレスが増す中、若い世代の消費者は、感情や心理的なニーズを満たす商品を購入することで、気持ちを落ち着かせる傾向が強まっている。ある中学生は、『家に帰って好きなアニメのキャラクターを見ると、心が落ち着くし、彼らのように勇敢で強くなりたいとさえ思う』と話した」と伝えた。
また、「Z世代を中心とする『グッズ消費層』は、非常に大きな購買力を持っている。艾媒のデータによると、グッズ経済の主要な消費者は女性であり、半数以上が大都市に集中している。さらに、彼女たちの収入は比較的高く、感情を満たすための『感情的消費』をする余裕がある。国元証券の報告によれば、Z世代の手取収入の総額はすでに10兆元(約204兆円)を超えており、そのうち5割以上の消費者がグッズ購入に意欲を持っている。これが、グッズ経済の発展を支える基盤となっている」と述べた。
記事は、「近年では中国で優れたアニメ作品が次々と誕生し、『哪吒之魔童降世(邦題:ナタ~魔童降臨~)』や『原神』などの人気コンテンツが二次元文化の成長を後押ししている」とも指摘。また、「多くのグッズの価格が比較的低く設定されているため、購入のハードルが下がり、より幅広い二次元ファン層に届きやすくなっている。このように、手軽に買える価格設定、若者の感情的価値や社会的承認欲求を満たす要素が組み合わさることで、消費者はただのプラスチック片に見えるグッズであっても、喜んでお金を払うのだ」と説明した。
一方で、「中には驚くほど高額な取引が行われるケースもあり、グッズ消費は楽しみの枠を超え、焦燥感や競争意識を生み出し、新たな破産のリスクさえ生み出すことがある。グッズ界隈の人々にとって、ただ黙々とグッズを集めるよりも、それをを見せびらかすことの方が、より重要な社会的意味を持つ。希少な限定版や特別なグッズを持つことは、コミュニティー内でのステータスを向上させる手段となるのだ」と伝えた。
また、「多くの親は、子どもが『推し活』(アイドルやキャラクターを応援する活動)や『グッズ消費』をすることについて、基本的には尊重している。誰しも若い頃に何かに熱中した経験があるからだ。しかし、精神的な応援と経済的な支援は別の問題である。通常、中国で販売される一般的なグッズの価格は10〜30元(約200〜600円) 程度であり、輸入品でも 30〜60元(約600〜1200円) 程度が相場とされている。だが、一部の悪質な業者や投機目的の転売によって、グッズの価格が何十倍、さらには何千倍にまで高騰することがある。彼らは転売目的の買い占めや市場操作を行い、価格を人為的につり上げることがある」と説明した。
さらに、「偽物と本物を混ぜて販売するケースもあり、消費者が大人であってもだまされることがある。ましてや、未成年のファンがそのような危険から身を守るのは非常に難しい。特に問題視されているのが『グッズの投機市場化』だ。グッズ市場は株式市場と似たような仕組みになっており、事前に市場の取引情報を入手できれば、戦略的に価格を操作し、流通量を減らすことで最終的な取引で利益を得ることが可能なのだ。運が良ければ、実際にグッズを手に入れなくても、高額転売によって利益を得ることができる。しかし、無計画に価格上昇を追い求めすぎると、最終的に大損するリスクもある」と指摘した。
記事は、次の問題として「代行購入詐欺や海賊版の氾濫」を挙げ、「限定版や海外でしか販売されていないグッズは、通常の方法では手に入れるのが難しい。そのため、多くの消費者 代行購入を利用したり、中古市場で購入したりする。ただし、多くの場合は先払い・後発送のシステムになっているため、代行業者が代金を受け取った後に逃げてしまったり偽物を本物と偽って販売したりする詐欺行為が頻繁に発生し、消費者がだまされても返金や対応が困難なケースが多い」と紹介した。
その上で、「グッズ市場が混乱を極める理由は、主に高額利益を狙う業者の参入と市場の規制不足にある。こうしたグッズは公式の販売ルートでなく、中古市場での取引が中心となっているが、中古市場には明確な規制が存在しないため、詐欺行為が後を絶たない状況だ。また、このようなグッズ購入時のトラブルに対する権利保護の難しさも消費者にとって大きな問題である。そもそも、被害者が全国各地に散らばっているため集団訴訟が難しく、一人当たりの被害額が比較的少額であるため、警察が立件しづらい。加えて、民事訴訟を起こそうとしても、訴訟費用がかさむため、多くの消費者が泣き寝入りするしかないのが現状である」と伝えた。
一方で、「こうした混乱の中でも、市場の健全化を目指す動きは少しずつ広がっている。グッズ市場の成長に伴い、大手企業が正式にキャラクターグッズの販売に乗り出し始めた。近年、二次元市場は継続的な成長を遂げており、多くの企業が『グッズ市場』から利益を得ようと考えるのであれば、市場の持続的かつ健全な発展を促進するために、著作権保護の強化や監視システムの導入などを通じて、海賊版の取り締まりを積極的に行うことが求められる。また、公式オンラインショップの開設や信頼できる小売業者との提携によって、安定した流通網を確立することが重要だ」と論じた。
また、「未成年者がトラブルに巻き込まれるのを防ぐため、『依存防止』策の導入も有効だ。例えば、一部の商品については購入後一定時間内であれば返品を可能にすることで、未成年者の衝動買いを防ぐことができる。また、高額で限定販売されるグッズについては、『購入許可証』のような仕組みを設け、保護者の同意を必要とすることで、家族が消費行動を把握しやすくなるだろう。当然こうした対策を実現するためには、政府や関連機関のさらなる規制強化も欠かせない。最近では、上海市黄浦区が主導して『黄浦区二次元派生商品およびサービス運営ガイドライン』の草案を策定し、地域の商業施設において二次元文化の健全な発展を推進する動きも見られる」と強調した。
そして、「『グッズ経済』は、単なる市場の一部にとどまらず、小売業界にとっても新たな成長のチャンスを提供し、オフライン市場を活性化させる大きな可能性を秘めている。だからこそ、一時的な狂騒ではなく、理性に基づいた持続可能な発展の場であるべきだ。健全で透明性の高いビジネス環境の構築は、今すぐにでも取り組むべき課題である」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)
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