Record China 2025年2月21日(金) 16時0分
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20日、シンガポールメディア・聯合早報は、中国で企業が従業員に結婚を強制する事例が起きていることを伝えるとともに、その背景について分析する記事を掲載した。
2025年2月20日、シンガポールメディア・聯合早報は、中国で企業が従業員に結婚を強制する事例が起きていることを伝えるとともに、その背景について分析する記事を掲載した。
山東省臨沂市に本社を置く化学メーカー、舜天化工集団はこのほど、「国家の呼び掛けに応じず、結婚もしないことは不忠」として28〜58歳の独身従業員に対し9月30日までに「婚姻問題を解決」するよう求め、3月末までに達成できなければ反省文、6月末までに達成できなければ会社からのペナルティー、9月末までに達成できなければ退職というルールを通達した。
しかし、市や地域を代表する化学メーカーである同社が打ち出した規定に「社員の私生活に干渉する越権管理」との非難の声が続々と上がり、河北省にある法律事務所の弁護士は「個人の自由を著しく侵害しており、法律的には荒唐無稽な要求。婚姻法や民法典、労働法などの規定にも反している」と指摘。現地メディアによると同社の責任者は「高齢未婚社員が個人の婚姻に関心を持つよう促すためのものであり、強制的な規定によって社員が迅速に家庭を持つことを促すことを意図している」と釈明する一方、当局からの是正命令を受けて関連規定を全て撤廃したことを明かした。
記事によると、同社以外にも社員のプライベートに干渉するような規定を打ち出した企業が存在し、先月初めには河南省の有名スーパーマーケット「胖東来」の創業者が「結婚実行基準」を発表し、結婚時の嫁入り道具や贈与金のやり取り禁止、親の貯金を頼った家や車の購入禁止、結婚式におけるぜいたくや浪費の禁止といった内容が含まれていたという。
企業が結婚に関する要求を打ち出す背景について、台湾開南大学人文社会学院の張執中(ジャン・ジージョン)院長は二つの可能性を指摘した。一つは企業の責任者が政府の出産育児政策に忠誠を示し、企業の知名度向上を図っている可能性、もう一つは、中央による査定指標クリアを至上課題とする地方政府からの圧力を受け、企業が違法かつ極端な手段でこれに応じている可能性であり、張氏は「社員のためであるように見せた不適切な手段であり、実際には逆効果や悪影響を生む」との見方を示しているという。
記事によると、シンガポール国立大学東アジア研究所の趙力濤(ジャオ・リータオ)シニア研究員は、中国企業による従業員のプライベート干渉は企業が社員の生活を管理するのが「常態」とされていた計画経済時代の名残りであるとともに、山東省や河南省など儒教文化の影響を強く受けた地域では、企業が価値観を通じて社員の行動を形成しようとする傾向が見られると指摘。趙氏は「企業と社員との関係悪化など負の効果をもたらし、社会問題を真に解決することはできない」とした上で、今後は社会の価値観の変化や法律の整備が進むにつれて、企業によるプライベート管理が一般的な現象になる可能性は低いとも予測したという。(編集・翻訳/川尻)
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