ファーウェイのAI関連の取り組みで新たな話題、早期から取り組み新たな成果

Record China    2024年12月16日(月) 10時0分

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ファーウェイは早い時期から人工知能(AI)を活用したスマート化に取り組んでいることで、大きな成果を上げているという。スマート製造システム部門の責任者である楊萍氏(写真)が状況について紹介した。

広東省深セン市に本社を置く、通信機器製造や各種関連ソリューションの提供大手である華為技術(ファーウェイ)が、とりわけ力を入れている分野に人工知能(AI)の開発と応用がある。最近になり、同社とAIに関連する話題がいくつか出てきた。

コンタクトセンター市場シェアで10年連続中国トップ、決め手はAI

まず、米国に本社を置く市場調査会社のインターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)がこのほど発表した報告書の「中国のコンタクトセンター市場シェア、2023スマートエイジ」によると、ファーウェイは中国のコンタクトセンター市場において、シェアが第1位だった。ファーウェイのシェアトップは10年連続となる。

同報告書によると、中国におけるコンタクトセンターの2023年の市場規模は米ドル換算で6億1000ドル(約915億円)で、ファーウェイの売上高は5440万ドル(約81億6000万円)だった。ファーウェイの同分野による実績は、人工知能(AI)を利用したコンタクトセンターであるAICCによる。

ファーウェイのAICCは、生成型AIを活用した知識の自動抽出能力により、膨大な文章から自動的によくある質問(FAQ)を生成して顧客との問答を提出することができる。事前に用意したFAQの利用率は80%に達し、さらに更新サイクルを従来の「週レベル」から「日レベル」に短縮した。

ファーウェイにはコンタクトセンター分野での30年以上の蓄積があり、顧客としては世界各地の通信事業者だけでなく、近年では金融、政務、交通、公共事業などの顧客も増えている。ファーウェイは現在、世界の1500社にAICCによるソリューションを提供しているという。

まずは自社でAI利用による大幅な業務改善を実現

一方で、ファーウェイのスマート製造システム部門の責任者である楊萍氏はこのほど、同社がデジタル化やスマート化のモデルチェンジにより製造会社の活力を引き出している状況を説明した。現在では、鍵になっているのはAIの活用という。

ファーウェイはさまざまな分野の企業に、デジタル化やスマート化により業務を飛躍的に改善するソリューションを提供している。楊氏によると、その背景には早い時期から取り組んだ「自社の改造」があるという。

ファーウェイが「混乱をともなわずに業務を飛躍的に拡大させる」ことに本格的に取り組み始めたのは2014年だった。その出発点は、全要素の接続とリアルタイムフィードバックシステムの構築であり、データの掌握とセキュリティーシステムの構築を通じて、業務プロセスの最適化と効率の卓越した向上を実現したという。

具体的な成果としては、15年には4000億元(約8兆2500億円)程度だった売上高が、20年には8900億元(約18兆4000億円)と、2倍以上に伸びた。しかし15年時点で17万9000人だった従業員数は、20年時点でも19万7000人にとどまったという。楊氏は、これこそがデジタル化モデルチェンジの顕著な効果と述べた。

もはや「従来型のデジタル化」では不十分

楊氏はさらに、企業のモデルチェンジでは現在、かつてとは異なる状況が発生していると指摘。すなわち、AIの波が世界を席巻するにつれて、単なるデジタル化モデルチェンジでは企業の急速な発展を支えるには不十分になっていることだという。ファーウェイはこの傾向を見通して、18年にAI戦略を本格開始し、デジタル化にスマート化を組み込んで、発展を目指す青写真を作成したという。

ファーウェイの戦略とは、デジタル化の要素であるデータプラットフォームとデータガバナンスの実現に加えて、AIを活用することだった。AIの活用は、「AIモデルおよびAIを利用するためのインフラストラクチャーやツールセットの構築」と、AIシステムが倫理的にも法律面でも適切に運用されるようにする「AIガバナンス」や、AIシステムを悪用や攻撃から守る「AIセキュリティー」などを含む。

ありとあらゆるデータを収集・整理した上でAIを活用

具体的な成果としては、例えばソフトウェア開発で、重要な技術文書および選定されたコード、研究開発データを統合して扱えるようにして、さらにオブジェクトライブラリー、ルールライブラリー、プロセスライブラリー、モデルライブラリーの四つのデータベースを構築した。このことで、AIを活用したコードの自動生成と全自動化が広く適用され、ソフトウェアの開発期間が大幅に短縮されたという。

また、ファーウェイ自身の例としては、受注データ、物流データ、製造ライン設備データなど製造に必要な全データについてデータクレンジング(データを評価して、誤っていると判断できるデータの修正や削除、重複データの除去などを行うこと)を行った上でAIをトレーニングした。そのことで、AIを利用してリアルタイムの受注に応じて素材や部品を必要な量だけ用意することができ、工場の敏しょう性や効率、生産性が大幅に向上した。また、生産ラインの各工程でAIによる品質検査と分析を行うようになった。効率が全面向上したことで、以前は80人が必要だった高級スマートフォンの生産ラインが、今では14人で稼働でき、1台のスマートフォンを約20秒で仕上げるという。

また物流分野では、サプライヤー、工場、倉庫、流通、顧客サイトのデータを統合した。流通については、大規模AIモデルを利用して梱包や車載関連のシミュレーションを行い、さらに輸送ルートのリスク評価も行い、「スマート物流のエンドツーエンドの最適化」を実現した。全プロセスは可視化されており制御可能という。

ファーウェイはスマート製造分野で、産・学・研のパートナーおよび30以上の標準化団体や協会、スマート化関連に特に力を入れる高等教育機関72校と提携して、中国全国の7500社以上の製造企業にサービスを提供している。その分野は自動車、設備製造、電子、家電、製薬、重工業、太陽光発電や風力発電などの新エネルギーなど極めて広い。

楊氏はさらに、「特筆すべきは、ファーウェイが顧客と共同で製造業向けのAIの大規模モデルを構築し、中国の製造業のスマート化アップグレードを支援していることです」と強調した。楊氏はさらに、ファーウェイが顧客企業と構築するAIモデルには「(高度な演算を実現するためのハードウェア部分である)演算基盤層、(AIが処理する内容に基づいて設計される)AIアーキテクチャ層、(機械学習や深層学習の実行に必要なソフトウェアである)AIフレームワーク層、(AIの学習を支援する環境を提供する)AIプラットフォーム層、(データに基づきAIが学習し、予測や分類を行う)AIモデル層、そして(最終的にユーザーにサービスを提供する)AIアプリケーション層が含まれる、すなわちAIを利用するための全ての部分が含まれていると述べ、そのことで製造業企業のスマート化をしっかりと支えていると説明した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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