「鬼滅の刃」成功の秘密(2/2)=視覚・音楽効果と文化的背景―中国メディア

Record China    2024年9月17日(火) 0時30分

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11日、中国のポータルサイト・捜狐で大人気アニメ「鬼滅の刃」が成功した要因について考察する記事が掲載された。写真は鬼滅の刃。

2024年9月11日、中国のポータルサイト・捜狐で大人気アニメ鬼滅の刃」が成功した要因について考察する記事が掲載された。

(前編から続く)

記事は続いて、同作はストーリー設計やキャラクター設計に加え、「視覚的効果」の面でも非常に高い評価を得ていると指摘。「アニメ制作会社・Ufotableによる緻密で流れるようなアニメーション技術が視聴者の視覚的な体験を向上させ、作品に高い芸術的価値をもたらしている。特に戦闘シーンでは、竈門炭治郎(かまどたんじろう)の『水の呼吸』の技が非常に印象的だ。この水の流れの表現には日本の伝統的な浮世絵のイメージが取り入れられており、流れる水の模様と力強い線を融合させて描かれている。このような伝統的な芸術形式をうまく適応させることで、作品の視覚的な認識度が高まり、芸術性がさらに引き上げられている」と評した。

そして、「戦闘シーンにおいては、その高い流動性と自然な動作のつながりも高く評価されている。戦闘のスピード感や打撃感が非常にリアルに表現されており、キャラクターの動きは極めて精密で、対峙(たいじ)する際の連続したリアルな動きは、視聴者にまるで戦闘の中にいるかのような臨場感と新しい興奮や驚きを与え続けている。こうした高品質な戦闘シーンは、作品の緊張感やエンターテインメント性を高めるだけでなく、制作チームの技術的な卓越性をも示している」とした。

また、「色彩と陰影の活用も、非常に重要な視覚的効果の一つだ。作品は豊かな色彩のコントラストや陰影効果を通じて、キャラクターの動作や感情を際立たせている。例えば、夜のシーンはしばしば神秘的で圧迫感のある雰囲気を持ち、キャラクターの技や武器を夜の中で明るく輝かせることで、強烈な視覚的インパクトを生み出している。これは、劇場版『鬼滅の刃』無限列車編で顕著に表現されている。列車が暗い森を進む中、戦闘の炎が際立ち、劇的な視覚的効果を生んでいる。炭治郎が敵と戦う際の『ヒノカミ神楽』や『水の呼吸』もこの陰影の絶妙な演出により、各技の威力や速度を視覚的に強く感じ取らせることができるのだ」と紹介した。

さらに、「Ufotableは『鬼滅の刃』の制作において、手描きアニメーションとCGI(Computer Generated Imagery)技術を巧みに融合させた。伝統的な手描きアニメーションは作品に温かみや感情的な繊細さを与え、一方でCGIは、アクションシーンや複雑な背景を表現する際に、より高度な動的効果を提供する。例えば、鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)や上弦の鬼が登場する多くの大規模な戦闘シーンでは、CGI技術が巧みに活用され、キャラクターの力強さや高速移動、周囲が崩壊していく迫力が効果的に表現されていた。なお、CGIの使用は非常に慎重に行われており、全体の手描きアニメーションの美しさを損なわせることなく、必要な場面でのみ細部とリアリティーを強化している」としたほか、「『鬼滅の刃』はカメラワークとシーン分割においても独創的なアプローチを取っている。特に戦闘シーンでは、動きのあるカメラワークとシーンの切り替えが生み出した、視覚的なダイナミズム、戦いの緊迫感やスピード感が視聴者に物語の雰囲気や感情の高まりを伝えている」と述べた。

記事は、「音楽と音響効果」も、視覚的効果と同様に物語を支える重要な成功要因だとし、「『鬼滅の刃』を彩る音楽は、各シーンごとに異なる感情を喚起するために巧みに使われている。例えば、炭治郎が家族の悲劇に直面するシーンでは、悲しげで静かな旋律が感情に深く響き、戦闘シーンでは、緊張感を高めるために激しいリズムや壮大な音楽が使用され、キャラクターの勇敢な戦いを盛り上げる。このほかにも、音楽は物語のテーマや感情を強調する重要な役割を担っている。特に、アニメのオープニング曲やエンディング曲は作品全体の雰囲気を象徴するものであり、視聴者に強く印象づけることができる。『鬼滅の刃』のオープニング曲『紅蓮華』は、力強く情熱的なメロディーが特徴で、作品のテーマとも言える『家族愛』や『戦いの決意』が表現されている」と分析した。

そして、「音響効果」について「物語の臨場感を高める重要な要素だ」とし、「戦闘シーンでの刀の斬撃音や鬼の攻撃音、炭治郎が『水の呼吸』を使う際の水の流れる音など、これらの効果音は非常にリアルで、視聴者に戦いの激しさや技の威力を視覚だけでなく聴覚からも伝える。これにより、アクションシーンの迫力が増し、視聴者はより深く作品の世界に没入することができるのだ。また、音響効果はキャラクターの感情を表現する上でも役立っている」と論じた。

さらに、「背景音楽(BGM)もさまざまなシーンの感情や空気感を正確に演出するために使われている。例えば、炭治郎が妹の禰豆子と再会するシーンでは、繊細で美しい旋律が温かい瞬間に感動的な雰囲気を加え、反対に敵と対峙する際には、緊張感や激しさを伴う音楽が視聴者にさらなるスリルや緊迫感を与える。このような音楽の扱い方により、視聴者は物語の感情の波をより深く体感できるようになる。なお、『鬼滅の刃』の音楽は単なる背景の装飾にとどまらず、物語の進行とも密接に結びついており、重要な転機やクライマックスにおいて、音楽の変化は聴覚への深い感情体験を効果的に強める」と説明した。

記事は、「鬼滅の刃」が世界的に成功した要因として「文化的背景とプロモーション戦略」を挙げ、「『鬼滅の刃』の成功は日本の伝統文化と現代アニメの要素を巧みに融合させている点にもある。物語の背景である大正時代は日本独特の文化的な雰囲気に満ちており、物語に深く溶け込んだ武士道精神、鬼の伝説、道徳観念などが作品全体に豊かな日本の情緒を漂わせている。一方、炭治郎が妹の禰豆子を守るために戦う姿や、彼がさまざまな試練に立ち向かう際に見せる強い精神など、兄妹の絆、努力と成長といったテーマは、文化の違いを超えて多くの人々が共感する感情であり、これも『鬼滅の刃』が国境を越えて多くの観客を引きつける理由の一つだろう」とした。

さらに、「作品が日本国内で成功を収めたことで、グローバル展開の土台が築かれ、NetflixやCrunchyrollといったストリーミングプラットフォームを通じて国際市場へ進出し、世界中の視聴者に作品が急速に広まった。また、制作・配給会社の国際的なアニメイベントや展示会への参加によってメディアや視聴者とのつながりを深め、作品の国際的な知名度を大きく押し上げた。このような広範的で戦略的なプロモーション活動により、『鬼滅の刃』は世界中でさらに多くの注目と認知を得ることができたのだ」と述べた。

そして、「『鬼滅の刃』は単にアニメで成功しただけでなく、世界中のポップカルチャーに深い影響を与えた。作中のキャラクターや技、名シーンは世界中のファンの間で話題となり、ソーシャルメディア上で広く拡散され、ポップカルチャーの象徴として定着した。この現象は、『鬼滅の刃』がアニメファンにとどまらず、より広範なポップカルチャーの領域に浸透していることを示している。作品が多く引用され、再解釈されることで世界的な文化現象を生み出し、作品の影響力がさらに強固なものとなって、グローバルなアニメ市場における地位を一層確固たるものにしたのだ」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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