華僑の「僑」は懸け橋の「橋」でもある―在米生活42年の中華系住民が足跡を振り返る

中国新聞社    2023年7月19日(水) 5時0分

拡大

江蘇省南京市出身で米国に42年間住み、在米華僑のリーダーのような存在である張素久さん(写真)は、在米華僑は米国と中国の友好と友情を促進すべきと考え、そのための活動を実践してきた。

海外に長く住む中国系住民は「華僑」と呼ばれる。江蘇省南京市出身で米国に42年間住み、在米華僑のリーダーのような存在である張素久さんは、在米華僑は米国と中国の友好と友情を促進すべきと考え、そのための活動を実践してきた。張さんの信念は「華僑の『僑』は、懸け橋の『橋』でもある」だ。張さんはこのほど、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、在米華僑としての自らを振り返り、今後に向けた考え方を披露した。以下は張さんの言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。

40年前の米国には、中国大陸出身者がほとんどいなかった

2023年は米中が国交を樹立して44年で、私が米国に来て42年目の年だ。私は1981年に渡米し、最初はニューヨークの会社で働いた。会社には技術者が多かったが、中国大陸から来た人はいなかった。しばらくして、私はケンタッキー州立大学に進学した。私の知っている教授に中国大陸出身者は一人もいなかった。次にシリコンバレーの会社に入ったが、この会社にも中国大陸出身の技術者はいなかった。私は米国のさまざまな土地で暮らしたが、大陸出身の華僑同胞はとても少なかった。

私は、今住んでいるロサンゼルスで「大学連盟」を設立した。これは、中国の大学の卒業生の連合同窓会だ。メンバーの中国大陸部の母校は70校以上になった。

在米華僑・華人は教育レベル、経済的地位、社会活動能力のいずれもが向上しており、仕事や事業で大きな成果を収めた人も多く、米国における華僑・華人の新たなイメージを確立しつつある。このことは、華僑・華人の才覚と努力によるものであり、また、改革開放以来の中国の急速な発展を抜きにしては考えられない。

中国の指導者は、国の交わりの根本は民が親しみ合うことであり、民の親しみは心の通い合いにあると何度も強調している。米中関係はここ数年来、困難な試練に直面している。だからこそ、われわれ華僑・華人は民間交流をより多く促進し、米中関係の健全で安定した発展を推進するために自らの力で貢献せねばならない。

民間交流とはつまるところ、友を作ることだと思う。社会の階層には関係なく、人は一人の人として、他人と心をつなぐことができるものだ。私の米国での歩みを振り返れば、いろいろな出来事があった。ここで2点に絞ってお話ししよう。

筋を通して誠実に努力したことで願いがかなった

まず、中国をテーマにした山車が、米国でのパレードに加わったことだ。カリフォルニア州パサデナ市では毎年1月、ローズパレードと呼ばれる行事が行われる。100年以上の歴史があり米国でも最大規模のパレードだ。

私は2008年の北京五輪大会が決まったことを受け、北京五輪をテーマにした山車を2008年のローズパレードに登場させたいと考えた。そこで2006年に、北京五輪組織委員会に大会マスコットの「福娃」や北京大会のスローガンなどを山車のマークに使用する許可を申請した。北京五輪組織委員会は力強く支持してくれた。私たちは国際五輪委員会と米国五輪委員会の支持も得た。

その後、ローズパレードへの参加を申し込んだところ、一部で反対の声も出た。私たちは筋を通して誠実に努力した。そしてパサデナ市で行われた投票で、極めて多くの票をあつめて参加が認められた。私はパレードに足を運んだパサデナ市の当時のビル・ボガード市長の言葉をよく覚えている。市長は「米国大統領は北京五輪に出席する。選手は北京五輪に参加する。北京五輪の山車のパレード参加に反対する理由はない」と言ってくれた。

2008年元旦に行われたパレードに参加した「北京五輪の山車」が米国のバラ花車パレードに登場した。われわれが作った山車は北京五輪のテーマを際立たせると同時に、京劇やアクロバット、民族衣装など中国文化のある要素を融合させた。パレードの沿道の観客から大きな拍手が送られた。私たちは2010年の上海万博の年にもローズパレードに中国文化を紹介する山車を参加させた。

ある国を好きになる場合、まずはその文化を好きになる

もう一つお話しておきたいことは青少年交流についてだ。2010年に米国青少年文化芸術協会を設立し、私は会長を務めた。協会は北京市内にも事務室を設けている。活動の一つは中国の青少年を見学と交流のために米国を旅させることだ。私たちは子供記者団、地質調査団、文化小使者団などテーマ別にチームを作り、青少年が活動の中でより多くの収穫を得られるようにしている。

協会はハリウッドでの「エンジェルカップ」芸術祭などのイベントを主催し、中国の青少年文芸団体を米国に招いて米国の子どもと共演したり、友情を育んでもらう活動もしている。新型コロナウイルスなどでこうした活動に影響が出たが、情勢の好転に伴い、今後もより多くの意義ある文化交流活動を推進していきたい。

私たちの先祖は私たちに黄色い肌と黒い目を与えてくれた。私たちは海外にいても、自分たちの中華のルーツを忘れてはいけない。華僑・華人はたえず自らの影響力を強め、中国と居住国のために多くの貢献をし、居住国に多くの友人を作り、その上で中国の物語をしっかりと語り、中国と外国の人と人のお相互信頼と友情を増進せねばならない。

私は、文化は国際交流の中で非常に重要な役割があると考える。どこかの国が好きなる場合、まずその国の文化が好きになるからだ。

中国の文化は歴史が長い。私は米国で長年にわたり暮らしてきたが、多くの米国人が中国文化に特に興味を持っている。中華料理、中国語、中国の伝統医学、武術、京劇、書道、工芸、服飾、さらには伝統的な祝日などを好む人もいるた。私は米中の民間交流と文化交流を推進することに力を尽くしてきた。多彩で和を尊ぶ中国文化を広めることで、より多くの人に中国を理解してもらい、中国を好きになってもらえたと自負している。

米中の文化交流をさらに進める上で、私にはまだ多くの願いがある。その一つが、米国で中国の仏教文化を大きく広めることだ。ロサンゼルス地区に中国大陸出身者が建立した寺院はまだない。私は仏教寺院を建て、中国国内の高僧を招き、仏教学交流を行い、アメリカの各民族の人々が中国の仏教文化を理解するための新しい場をつくりたいと思っている。米国の各民族の人々に中国の精進料理や禅茶、禅楽などを体験してもらい、中国の仏教文化の魅力を肌で感じてほしい

国と国との友好交流を推進するには、現役の私たちが努力するだけでなく、若い世代に引き継いでもらわねばならない。若い世代に、さらに枝を茂らしてもらわねばならない。これは私のこれまでの努力の方向性であり、米中の民間友好に対する私の心からの期待でもある。(構成 / 如月隼人


※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携