<中国GDP加速>十数年後に米中逆転へ―中高速成長推進も、インフラ投資偏重に脆さ

八牧浩行    2017年4月18日(火) 10時0分

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17日、中国政府の発表によると、今年1〜3月の実質国内総生産(GDP)が前年同期比6.9%増となった。2期連続の成長率拡大は本物か? 中国エコノミストらに聞いた。資料写真。

2017年4月17日、中国政府の発表によると、今年1〜3月の実質国内総生産(GDP)が前年同期比6.9%増となった。インフラ投資が拡大し、好調な不動産販売も成長を支えた。

中国の成長率は昨年10〜12月に前年同期比で6.8%と2年ぶりに拡大。今年1〜3月もさらに加速した。2期連続の成長率拡大は09年4〜6月、7〜9月以来。成長率は17年の政府目標の「6.5%前後」を上回った。

「新常態(ニューノーマル)」中高速安定成長を目指す中国政府系エコノミストは、「技術革新を通じた産業の高度化と構造改革を発展の原動力に据えた結果、中間層の急拡大に伴い個人消費が大きく伸びた」と指摘している。2期連続の成長率拡大は本物か? 中国エコノミストらに聞いた。

畢吉耀・中国マクロ経済研究院副院長は「中国の16年の実質国内総生産(GDP)は6.7%増だったが、17年も6%台後半の伸びが期待できる。国際通貨基金(IMF)予測でも当初の6.1%〜6.2%から6.5%前後に引き上げられた。消費者物価も2%以下に抑えられ、安定している。中間層の急拡大に伴い個人消費が大きく伸びた」と解説している。

張宇燕・社会科学院世界経済政治研究所所長は「今後5〜10年間の年平均潜在成長率は6%以上。米国は最大2%程度で4ポイント以上の差がある。年間GDP規模は米国の17兆ドルに対し中国は11兆ドルなので、十数年後には逆転する。IMF発表の購買力平価方式では14年に既に米国を上回った」と分析している。

趙晋平・国務院発展研究センター対外経済研究部部長は「中国は約14億人の巨大人口を背景に世界最大の消費市場に成長、小売総額も大幅に増加した。中国が推進する『一帯一路(海と陸のシルクロード)』構想の世界に占める割合は人口で60%。GDPで30%に達する」とグローバル展開に期待する。

2期連続のGDP加速は、地方を中心にインフラ投資が増えたことが大きい。好調な不動産も成長をかさ上げした。習近平政権が秋の党大会をにらみ、公共投資で経済安定を確保した面もある。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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